栽培方法

用土

  ネペンテスを栽培するのに用いられる用土としては大きく分けてミズゴケ系(椰子ガラを含む)と砂利系があります。ミズゴケが一番無難とされていますが、いずれも一長一短があるように思います。
  現在私が使用しているのは、ampullariaやbicalcarataなどの低地性で湿った環境好きのネペンテスにはベラボンを主体としたもの、高山性や乾いた環境が好きなものには砂利系の用土を使用しています。
ベラボン ベラボン混合土
  ベラボン主体の用土は、ベラボンのM(1センチくらいの角切り)にベラボンのS(繊維状のもの)を混ぜて、さらに通気向上のため、パーライト(ビーナスライト)、大粒のパーライト(軽い鉢底の石)、大粒の硬質鹿沼土を混ぜたものを使用しています。混ぜ具合は、ベラボンのMが7、ベラボンのSが0.5、パーライトが0.5、大粒のパーライトが1、大粒の硬質鹿沼土が1ぐらいでしょうか。これを、軽石のMサイズを2-3センチ入れた上につめて、植物を植え込んでいます。
   高山性のものは、硬質鹿沼土・焼き赤玉土配合用土、軽石、さつま土、パーライトを混ぜたものを使っています。硬質鹿沼土・焼き赤玉土配合用土は、ベスト蘭の小粒(約3mm-8mm位)と中粒(約8mm-12mm)を使用しています。 ベスト蘭
さつま土
混合土
  これは、pHが5.8-6.4の弱酸性なのでネペンテス向きかなと思って使用しています。用土はすべて篩でふるって微塵を除いて使用します。
  鉢の一番下に軽石の中粒を入れて、その上にベスト蘭の中粒をいれて、ベスト蘭の小粒、軽石、さつま土、パーライト(5:1:2.5:1ぐらいに混合)で植物を植え込んでいます。
  以前はベラボンなどの有機物も入れていましたが夏場にどうしても傷むようなので、今は有機物なしの砂利系にしています。

  低地性のネペンテスには、普通のスリット鉢を使用しています。ampullariaやbicalcarataなどは大きめの鉢に植えたほうが良いでしょう。
  高山性のネペンテスにはネット鉢を使用しています。
ネット鉢
  これは、根ぐされ防止やネペンテスの根への通気向上、夏場の土温度降下作用を期待して採用しました。ただ、なかなか気に入ったサイズの鉢がないのが難点です。阪中緑化資材(http://www.sakanaka.co.jp/)の空中ポットレストレや、それを分離したものなどを使用しています。

温度

  低地性のネペンテスには、冬場は最低気温20℃になるようにサーモスタットでコントロールしています。ヒーターはワーディアンケース用のプレートヒーターを使用しています。夏場はそのままですが、あまり暑くなりすぎないように日照を調節します。
  高山性のネペンテスの温度管理は難しいです。特に夏場は、温度を下げるのにクーラーを使用します。現在は三階松きのこ農城のクワガタ用のクーラーA−200M型クーラー(http://homepage3.nifty.com/sangaimatsu/A-220.htm)を使用していますが、これだけではパワーが足りないようで、追加の設備が必要そうです(コロナ社どこでもクーラーを追加予定)。20℃でクーラーのスイッチが入るように設定して、夏場はほとんど稼動している状態になります。これで夏の暑いときは26〜28℃、夜は18〜20℃(本当はもう少し低いほうが望ましい)を目指しています。
  冬場は、最低気温15℃になるようにサーモスタットでコントロールしています。ヒーターはワーディアンケース用のプレートヒーターとパネルヒーターを使用しています。
冬でも日中は温室を締め切っていると、すぐに温度が上がってしまいますので、タイマー制御で日中の日のあたる時間だけ、30℃を越えないようにクーラーを作動させています。
  なお、一部の超高山性の種はこれでも温度が高く、一部はガラス冷蔵ケースを改造したところに避難させたりもします。

湿度

  ネペンテスは高湿度が必須です。加湿のために霧発生装置(ミストメーカー)などを利用していましたが、現在は超音波式の加湿器を使用しています。3.3Lのタンクですが、1日半ぐらいで空になる量を噴霧しています。
  あとは、2日に一回ぐらい噴霧器で植物体や全体に水を散布するのと、冬場は、プレートヒーターの上にステンレスの水入れを置いておいて加湿しています。
  夏場はクーラーで湿度が下がるので、注意が必要です。クーラーの冷気排出口の前に加湿器を置いて、少しでも湿った冷気が回るようにします。温室内はパソコン用のファンで、10分おきに3分くらい風を送っています。
  湿度計を置いていたのですが、電気式のものは、ほぼすべてあまりの高湿度と水滴がつくためにすぐに壊れてしまいます。機械式のものは、常に80%以上をさしていますが、あまりあてにはならないようです。目安程度です。

日照

 日照については、種類別や季節によって変えていきたいところですが、温室の立地の問題もあり、なかなか思い通りには行きません。でも、ネペンテスの栽培には日照はとても重要ですし、日照が足りないとてきめんに袋をつけてくれない種類もあります。
  10月半ばから3月はじめくらいまでは、遮光なしにしています。温室に直射日光の当たる時間は、午前10時半から午後3時くらいでしょうか。温室の柱や天井、他の植物の陰などがあるので、この時間すべてで日があたるわけではありませんが、この時期はしっかり日に当てています。
  3月半ばから5月半ばくらいと9月半ばから10月半ばまでは、40%遮光のカーテンをつけています。
 5月半ばから9月半ばまでは、40%遮光カーテンと温室の屋根の上に、よしづを広げています。この時期は日照はほしいのですが、どうしても温度との戦いになるので、植物にもちょっと我慢してもらう感じです。あとは、天候や温度によって遮光カーテンを少しあけたり閉めたりという調節です。
  本当は、遮光カーテンも20%遮光とか60%遮光とかもそろえたいところですが、張るのもたいへんなので、今のところ40%でやっています。

水やり、肥料、薬剤散布

  水やりは、高山性は鉢の表面が白っぽく乾いて来たらあげます。週に2回ぐらいでしょうか。暖房やクーラーの稼働状況によっても変わってきます。水やりとは別に葉水の散布も週に2回ぐらい行っています。低地性のものは、ベラボンの用土が常に湿っている状態を維持しています。水は、台所のシーガルフォーを通した水をあげています 。
  ネペンテスの栽培では肥料はほとんどあげないということが多いようですが、現在高山性の種類は100%砂利系で育てているので、月に一回ぐらい(夏場を除く)、液体肥料の5千倍液(洋蘭などには千倍で与えるもの)を与えています。あとは、種類によってはカブトムシに発生するコバエが多少壷に入るものもあります。以前は壷にマグアンプなどを入れたりしました、またやってみようかと考えているところです。
  薬剤散布については、温室が締め切った状態であることで菌由来の病気にかかることがあったので、予防の意味もこめて比較的こまめに薬剤散布するようにしています。ベンレート、トップジンM、ダコニール、ビスダイセン水和剤を交代で2ヶ月に1度は散布するようにしています。後は、秋から冬にかけて新芽が萎縮することがあったので、ハダニを疑って、抗ダニ剤も散布しています。コロマイト水和剤、ダニ太郎、バロックフロアブルを交代で秋から冬場に散布しています。少し薬剤まきすぎですかね。


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