ゲンゴロウの飼育

成虫の飼育

 成虫の飼育はそれほど難しくありません。45センチぐらいの水槽に、底砂か底砂利を入れて、20センチから25センチぐらいの深さになるように水を入れてやります。隠れ家として流木と水草を入れてやります。ウキゴケの仲間も入れてやると良いようです。コケにもぐったりして隠れています。流木は水の上に頭が出るようにしておくと、ゲンゴロウが登っているのが良く見られますので、やはり、水の上に出られるところを作っておくのが良いと思います。飛んで逃げるので、水槽のふたは必ずしておきます。
 産卵期以外は多頭飼育でもかまいません。ただ、えさの取り合いなどは激しいので、多少の触角の欠けなどは出るかもしれません。
 えさは、塩分の少ない煮干(犬猫用のものなど)です。ガジガジかじって食べます。他の水棲昆虫(タイコウチやタガメなど)の食べた後の魚も喜んで食べます。もちろん死んでしまった金魚やメダカもしっかり食べてくれます。お刺身なども食べますが、水が汚れるので極少量にします。
成虫 成虫

成虫
   水のメンテナンスは、水中フィルター(一番安い金魚のブクブクフィルター)を使っています。空気はあまり水面がゆれないよう、調節コックをつけて空気量を調節しています。水替えは夏場は1ヶ月に一度、冬は3ヶ月くらいしなくても大丈夫です。水槽のガラスにコケが生えて中が見えなくなって来たら洗うというところでしょうか。
 水槽は、室内に置いていますが、夜間は温度が下がるところにおいています。冬の寒さを経験しないと産卵をしないという話もありますので。特に越冬のためにしていることはありません。そのまま水槽の中で越冬しています。


 

産卵

春になって、4月になったら産卵のための準備をします。我が家では4月の終わりから6月はじめぐらいに産卵するようです。
 産卵用の水草は、ホテイアオイを使用しています。メスはホテイアオイをかじって中に産卵します。産卵用のホテイアオイは数セット用意して、メスが、ホテイアオイをかじった痕ができてきたら、1週間ごとに取り替えて別途水槽で保存して孵化を待つのが良いようです。ホテイアオイの中に生みつけられるので見つけるのは稀ですが、卵は細長いバナナ型をしています。
産卵 産卵
  5mm以上はあります。孵化が近づくと、卵の一部が透明になって中の幼虫が見えるようになります。孵化までは2週間ぐらいかかると思います。

 

幼虫の飼育

 かじられたホテイアオイを別水槽に保管したら、1週間後くらいから毎日幼虫が孵っていないか確認します。共食いを防ぐためにこの水槽にもウキゴケなどを入れておいたほうが良いです。大体一匹幼虫を見つけると、同時に2匹ぐらい、あるいは次の日にも幼虫といったように、同時に孵化してくることが多いようです。孵化したての1令幼虫は1.5センチ−2センチくらいです。幼虫は孵化後見つけ次第、一匹ずつ分けて飼育します。
1令 1令
  ゲンゴロウの幼虫の時期は、体外消化吸引でえさをとります。獲物に噛み付いて、牙の先から消化液を出し、解けたタンパク質などをまた牙から吸引するという食べ方です。タガメやタイコウチと同じ食べ方です。したがって、えさを食べた後には、ペナペナに吸われたえさの死骸が残ります。
 幼虫のえさですが、釣具屋で売っている生きアカムシが、容易でよさそうなのですが、ゲンゴロウ飼育している人のあいだでも賛否両論有で、私も釣具屋の生きアカムシで幼虫が死んでしまった経験があるので、できるだけ使わないようにしています。まあ、あげたとしても初令幼虫の初回のえさの一回だけにとどめるようにしています。
 その後は、熱帯魚のアカヒレのSサイズと釣りえさ用のサシ(ウジ)を与えました。サシは幼虫の前に落として、食いつくように与えます。田植え後の時期には、田んぼにたくさん発生するおたまじゃくしも良いえさになります。ただ、くれぐれも農薬散布前だけの使用にすることが重要です。
2令 2令
2令   2令になるまでは1週間半ぐらいです。2令以降になれば、アカヒレとメダカとサシが主なるえさになります。こまめに与えて、食後は早めに食べ残しを処理します(食べ残しは親虫のえさにします)。
 
  3令になるとぐんと大きくなって、長さも8センチ近くになります。

3令 3令

産卵
この時期からは、小赤の金魚も与えるようにします。3令後期になるとまあ、よく食べます。 一晩にメダカ4-5匹、金魚でも2匹は軽く食べてしまいます。 とてもえさの供給が追いつかない・・・・。多頭飼育しているとえさ代もたいへんです。金魚屋さんばっかり行っているわけにも行かないし・・・・。暑くなる季節ですし、水代えも頻繁に必要になります。
  ただくれぐれも、幼虫にかまれないように注意してください。かまれるととてつもなく指がはれるそうです。この時期の幼虫は動くものにはなんにでも噛み付いてきますから。
えさが足りなかったときには、スーパーで売っていた豆アジまであげました。安くていいのですが、海水魚だし余りお勧めではないかもしれません。いずれにせよ3令幼虫にはしっかり食べさせるのは重要です。

 

幼虫の上陸、蛹化

 ゲンゴロウは、幼虫が上陸して、土にもぐり、蛹室を土中に作って蛹になります。卵は草に産んで、幼虫は水の中で、蛹は陸上の土中で、親虫はまた水の中に戻ると、まあ非常に複雑な生活をします。底が魅力的なところなんですが・・・。
 蛹化の方法としては、自力上陸法と強制上陸法があります。強制上陸法は、蛹になりそうになったら、強制的に幼虫を土の上に置く方法です。3令幼虫の上陸見極めは、えさを食べなくなってからとされていますが、その見極めは意外と難しいです。えさを食べなくなったから、土の上においても、もぐったりもぐらなかったり、もぐってもまた出てくるのとかがいるので、結構見極めが難しいです。土は、やや湿り気気味のものが良いようです。カブトムシの細かいマットの残りとか、十分湿らせたピートモスを使用しています。中には土にもぐらないものも出てきますので、その時は給水スポンジ(園芸用、オアシスなど)で蛹室を作ってあげてそこに入れると蛹になります。
産卵 産卵
産卵   ただ、羽化不全になることも多いのであまりお勧めしません。ゲンゴロウは羽の下に空気をためて水中生活するので、羽が羽化不全で開いたりしてしまうと、溺れ死んでしまいます。
 やはり確実なのは、自力上陸法です。えさを食べなくなったら、幼虫を、水槽の半分に軽石を敷いて、その上に土を盛り上げた容器に移してあげます。水も2センチくらい入れておきます。産卵   これですと、幼虫は自分で蛹になりたくなったら、上陸して土にもぐってくれます。飼育数が多いと容器の用意や置き場所がたいへんですが、やはりこの方法が一番確実な蛹化方法です。

 

羽化、ついに成虫に

 土にもぐってから孵化までは約2週間です。羽化の時期になったら、毎日見ていると、ある日土の上や幼虫がいた水のうえに成虫が出ているのを見つけることになります。産卵  はじめは新成虫は、個別に管理します。初めて水に入れた時は、なかなかもぐれなくてミズスマシ状態になっていますが、しばらくすると水にもぐれるようになります。いきなり旧成虫と一緒にすると、体の柔らかい新成虫は食べられてしまうので注意が必要です。 2週間ぐらいたったら、他の成虫と一緒にしても良いかと思います。その後は成虫の管理と同じです。産卵から成虫まで約2ヶ月かかり、世話もたいへんですが、やりがいがあって結構楽しいです。みなさんもゲンゴロウの繁殖にぜひ挑戦を!!

 


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